
インスタレーション, 展示会

インスタレーション, 展示会
EVER ORIGIN
JAPAN SHOP 2025 / ARAKAWA + KOSHIN PLANNING
力強くも繊細に煌めく「1本の大樹」のインスタレーション
店舗総合見本市「JAPAN SHOP 2025」にて、荒川技研工業、光伸プランニングが共同出展いたしました。植物由来の樹脂を用いた3Dプリンティング×ワイヤーグリップシステムで構成するインスタレーションを展開。ブース内のインスタレーションを進藤篤が担当いたしました。
「EVER ORIGIN(永遠の原点)」をテーマに、力強くも繊細に煌めく「1本の大樹」のインスタレーションを展開し、樹脂本来の美しさとワイヤーグリップシステムの新たな価値創造に挑みます。 会場内にそびえる大樹のサイズは直径3m、高さ3.7mに及びます。180枚以上の酢酸セルロース樹脂パーツが樹液のように表面を覆い、それらを600個以上の多様なワイヤーグリップシステムが支えています。
現代の樹脂加工技術である3Dプリンティングが、人工的・作為的に正確な造作が可能であるのに対し、本来の樹脂は有機的で不均質な生命の痕跡を残します。同時にワイヤーグリップシステムとの出会いによって重力から解放された宝石のような軽やかさと輝きがうまれます。本展示では、3Dプリンティング技術における正確さの中に、ときおり現れる予期しない樹脂の動きやズレを取り込みつつ、人工と自然との共鳴を通して、改めて樹脂の原点に立ち返ることに臨みました。
素材本来の琥珀色の樹脂と、金属の煌めきが織りなす繊細な輝きと神秘的な存在感を放つ「1本の大樹」。重力に身を任せ豊かな造形を与える樹脂と、重力からの解放を与えるワイヤーグリップシステムというディスプレイを支える2社のものづくりが、新たな展開へと歩みを進めるきっかけとなれば幸いです。
[デザイナーコメント]
荒川技研工業のワイヤーグリップシステム、そして光伸プランニングによる植物由来の酢酸セルロース樹脂を使用する本展示では、両社のものづくりへの情熱と原点を再確認する機会となりました。自然と人工、そして原始と現代が繋がる深い森の中で、永遠に輝く大樹を探しにいくかのような想像を膨らませました。重力に身を任せ豊かな造形を与える樹脂と、重力からの解放を与えるワイヤーグリップシステムとの出会いにより、大樹の輪郭が浮かび上がり、壮大な輝きを見つけるような体験です。それは「EVER ORIGIN(永遠の原点)」を探す旅とも言えます。
現代の生活で「樹脂」という言葉を聞くと、石油由来プラスチック製品等の工業的で少し堅いイメージが先行します。しかしながら本来の樹脂は、木の表面からとろっと流れ出た樹液が固まったもの。木の温もりや生命の痕跡さえも感じるような、有機的で魅力的な存在。そんな樹脂が固まると「琥珀」という別の時間軸での価値が見いだされる。今回の展示では、そんな樹脂の原点へと立ち返るとともに、「現代の樹脂」による新たな価値の創出を目的としています。
本展示で使用された3Dプリントパーツの基材である酢酸セルロース樹脂のオブジェクトを初めて目にした時、まさに天然樹脂のような美しい琥珀色に驚きました。本来は様々な調色が可能な素材であるものの、意図的に着色や混合をせず、酢酸セルロース樹脂そのものの色味を活用しています。また、パーツの製作過程では、通常3Dプリンティングの出力時に、造形の正確さを優先し、基材を同量で吐出するところを、あえて吐出口の開閉具合を調整することで、吐出量に幅を設けています。そうする事で生まれる、雫のように膨張する樹脂の表現と「光の溜まり具合」を実現する為、何度も試作が行われました。立体ではなく平面のパーツであっても、豊かな奥行と輝きが実現できているのは、光伸プランニングの技術力と探求心の現れと言えます。
荒川技研工業の製品は、空間の中で清々しい緊張感を与え、時にその存在が消えてしまうほどに空間の中に溶け込んでいく。確かな信頼を寄せられる縁の下の力持ちでありながら、表舞台でも些細な華やかさを魅せてくれます。今回の展示ではパネルを挟み込む金具である「SFK-1S」を中心に多種多様な方法で空間を支えています。ワイヤーグリップシステムによる空間構成は重力との軽やかな遊びを楽しむようなひと時を与えてくれます。
Place|Tokyo Big Site (JAPAN SHOP 2025)
Client | ARAKAWA, KOSHIN PLANNING
Material|Cellulose acetate(Koshin planning), Wire-grip(ARAKAWA GRIP), LED, Steel
Creative Direction | Atsushi Shindo
Photo | Studio Xxingham K.K.
Sponsor|ITL Co., Ltd.
Construction|Taiwa Co., Ltd.
Lighting Planning|Katsumasa Asada (GLD)
EVER OROGIN | 2024