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SOME ECHOES

SALONE SATELLITE 2025

光の声を聴く

光に導かれ静寂が漂う森の奥へと歩みを進めるひととき。

様々な気配が場に響き合い、生命の兆しを感じさせるライティングインスタレーション。中心部を貫く照明の支柱に対してランダムに立てられた薄板が光を映し、うねる大気に差し込む温かな光が響き渡るインスタレーション。


日本の伝統的建築の屋根に用いられる手法「こけら葺き(杮葺)」を再解釈した照明オブジェによって構成されています。この「こけら葺き」は、木材の薄板を敷き詰め屋根を仕上げたものを指し、1300年以上の歴史を持つ日本特有の屋根工法です。また、金閣寺や銀閣寺、桂離宮古書院等、数多くの文化財や寺社仏閣に用いられていることからも、この技法が受け継いだ歴史の長さを目にすることができるでしょう。


本作では、実際に寺社仏閣のためのこけら板を制作する職人協力のもと、元来建物の外側に存在する「屋根」に注がれてきた職人技を「照明」に用いることで、建物の内側に取り込んでいます。こけら板は、一見シンプルな薄板でありながら、その制作工程は緻密かつ熟練した技術が必要で、1枚1枚、手作業によって正確に木材を割くという職人の手仕事によって成されます。また、「割く・剥ぐ」という動作によって表面には滑らかで美しい木目の凹凸が生まれます。

 


[デザイナーコメント]

 

森を歩く時間からインスピレーションを受けた。森には様々な存在がひしめき合っている。まっすぐと立つ木々、どこからか聞こえるせせらぎ、ふいに降る雨、生命の痕跡、そんな多様な存在の「気配たち」が、互いに反射し、共鳴し、ちいさな世界を温かく包むような情景が浮かんだ。柔い地面を踏みしめ、木々の隙間から光が差し込み、静寂さの中に生命の営みが垣間見えるような瞬間。その光を追い、森の奥へ奥へと導かれる中、木々のリズムの中に自身の姿が重なり合う。気配たちの音なき共鳴、生命の足跡と新たな兆しが場に広がる。


本作は、木材とアルミ材の2種類のタイプで制作している。木工素材で作られた高さ2mのオブジェクトは、木曽産のサワラ材が使用されている。黄色みの強い板材に光が差し込む事で、穏やかな暖かさを感じる。アルミ材で作られた置き型のライトはくっきりとした光のコントラストが現れ、厳粛かつ澄み切った静寂な森の空気をまとっている。日本各地の寺社仏閣で使用される「こけら板」の制作を手掛ける栗山木工協力のうえ実現した。1枚1枚、手で割く(へぐ)技術は1300年以上受け継がれた高度な職人技術の集積と言える。森林への眼差しと、多様な光の在り方と響き合いが感じら
れる作品となれば嬉しい。

Place|Rho, Fiera Milano / SaloneSatellite(Pavillion 5)、Booth No.C16
Size|(Large) φ300mm (base φ600mm), H2000mm / (Small) φ300mm, H400mm
Material|(Large) Sawara (Japanese cypress) , Stainless steel, LED / (Small) Aluminum, Stainless steel, LED

Photo | Ryohei Maehara

Manufacture|Kuriyama-mokkou, co. ltd,

SOME ECHOES | 2025

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