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OVER DUST

DESIGNART TOKYO 2023

破られたバリアが光の粒になる

「DESIGNART TOKYO 2023」内、「DESIGNART GALLERY」の空間構成として発表されたプロジェクト。
 

コロナ禍において大量に消費され、行き場をなくした「アクリルパーティション」を活用し、什器・インスタレーションへと再構築する。

本企画では、様々な企業から収集・清掃後、アクリルパーティションが3つの段階に姿を変え、会場を構成している。

1つ目は、同サイズのアクリルパーティションを加工せず〈積層〉させた「什器の台座」。2つ目は、アクリルパーティションに〈レーザーカット加工〉を施して3種類のパーツを組み立てることで生まれる「インスタレーション」。そして3つ目は、粉砕したアクリルパーティションを〈アップサイクル〉し、全く異なるテクスチャーの「什器の天板」へと変化(へんげ)した。

約3年にわたるコロナ禍において、私たちの生活に根を下ろし大量消費された「アクリルパーティション」という資材が、マテリアルとして空間の中で多様に変容し、光を解き放つ。

 

また、今回を第1弾の取り組みとし、進藤は新たに資材再構プロジェクト「OVER DUST(オーバーダスト)」を始動。今後、対象とするマテリアルはアクリルのみならず、オフィスや店舗、商業空間等で廃棄される資材を中心に、様々な形へと再構築し、新風を生む空間へと提案する。

[デザイナー  コメント]

野を越え、山を越え、未知の地平を目指すように、「OVER DUST」プロジェクトは、「ゴミを越える」新たな価値や驚きを創出する取り組みです。


今回の空間構成を担当するにあたり、メインに据えるマテリアルを検討していました。ちょうどその頃、新型コロナウイルスの感染症法上の分類が「5類」へ移行し、感染防止目的として至る所に設置されていたアクリルパーティションが撤去、そしてその9割以上が焼却処分されているという現状を知り、大量の「アクリルパーティション」を捨ててしまう前に何かができないか、と思ったことがプロジェクトを始めるきっかけでした。


今回の構成は資材を3つの段階で展開しており、いわばパンデミックを経た私たちのこれまでと、これからを「過去」「現在」「未来」の関係性として構成されていると言えます。


「什器の台座」部分は、パーティションとして使用されていた「過去」を想起させます。積層されたアクリルパーティションは氷のような塊となり、断面からは不思議な光の反射を見ることができます。


「インスタレーション」は、レーザーカット加工という一手間を加えることで、バリアから解き放たれた「現在」が表現されているとも言えます。人と人とのコミュニケーションを遮断していたアクリルパーティションを、小さなパーツに分解し、再構築させる事で、「開かれたパーティション」として新たなコミュニケーションを促します。


「什器の天板」は、乃村工藝社 × REMAREというタッグによって実現したアクリルのアップサイクル素材。いわば「未来」の姿です。ペレット状にした後、熱プレス加工することで乳白色の全く異なる表情が生まれました。


廃棄される資材を、ただのゴミとして扱うのではなく、未来に向けた新たな資源として向き合う事で、私たちの日常はまた少し輝きが増していくのかもしれません。


まだ使い続けることができる、しかし社会から取り払われた「アクリルパーティション」の変容とともに、パンデミックを経た私たちのこれまでと、これからの生活に思いを馳せてもらえたら、そんな願いを込めて。今回の取り組みが、新たな未来に向けて歩みだす、時代の転換期を示唆するものとなれば幸いです。

[資材の継続利用]

今回使用されたアクリルパーティションは、イベント会期終了後も継続的に展開されます。

1.「什器の台座」―緑川化成工業株式会社により引き取られ、再生アクリル板の原料として使用。

2.「インスタレーション」―資材素材提供元である日本取引所グループ(東京証券取引所ビル内)にアートワークとして設置予定。

3.「什器の天板」―資材素材提供元であり、今回の製作協力会社である株式会社乃村工藝社にて、同社の推進する「ソーシャルグッド活動」の取り組みに活用。継続的に展示什器として活用。

進藤篤|ATSUSHI SHINDO 
“OVER DUST for DESIGNART TOKYO 2023”
会期|2023年10月20日(金)〜 10月29日(日)
時間|11:00〜19:00(※10月20日は18:00まで)
会場|エスコルテ青山
東京都港区北青山2-7-15 1F(東京メトロ銀座線「外苑前駅」 / 2b出口よりすぐ)
主催|DESIGNART TOKYO 実行委員会
協力|荒川技研工業株式会社、株式会社NBCメッシュテック、株式会社乃村工藝社、
日本取引所グループ、緑川化成工業株式会社、B.M.ジャパン株式会社、株式会社REMARE

Photo by Ryohei Maehara

DESIGNART TOKYO 2023

Material : Acryl, Aluminum, LED

OVER DUST for DESIGNART TOKYO 2023 / 2023

Atsushi Shindo

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